: 仕事

凝縮された時間の中で

気づけば土曜日の朝。そんな気持ちです。 ここ数週間、特にこの一週間はひたすら朝から夜中まで仕事の毎日でした。出張先のデリーのホテルで、朝起きてまずはメールの確認から始まり、そのまま夕方まで仕事、そしてホテルに戻ったら今度は電話会議。電話会議の後はまたホテルで仕事。そんな毎日が続いていました。 もともと私の仕事は、平均的な仕事よりも労働時間が長い方ですが、今はさらに長い時間働いています。プロジェクト期間が短期ということもありますが、加えて私の場合は相変わらず英語での意思疎通や思考に一定の不自由があることとと、さらにプロジェクトで関係するお客さんがアメリカやカナダを拠点としているため、朝夕の電話会議にコミュニケーションを頼らなければいけないためそこでもまた効率が落ちていることも要因の一つです。 プロジェクトの時間の制約が厳しいので、結果的に私もタイムプレッシャーをかなり感じながら毎日を過ごしています。1日24時間しかない中、どのタイミングでどの仕事をするのか、その適切な判断が求められるのですが、やはり目の前の喫緊のタスクも消化する必要があり、なかなか全体最適が図れていません。忙しければ忙しいほど全体最適を意識しなければいけないのですが、忙しいほどに短期思考になるというジレンマです。 昨晩デリーからムンバイに戻りました。今朝起きてプライベートなメールやブログをチェックしながら、久しぶりに仕事以外の世界に戻ってきたような感じです。自分で淹れたコーヒーを飲み、音楽を聴きながらつかの間のリラックスタイムです。日本で売られている雑誌のいくつかを iPad で電子書籍として読んでいます。その中で “PHaT PHOTO” という写真雑誌の 7-8 月号のテーマが「インスピレーションがわく!写真の旅」でした。いいですね、写真の旅。 まだまだしばらくは今のように時間に追われながらの生活が続きそうです。とはいえ、この前後の数週間は後から振り返って、恐らく自分にとっての成長の良い機会になったと捉えられるように思います。一週間単位で色々な学びや経験があります。決して自分がうまく働けているとは思えないのですが、踏ん張り続けることができれば、きっと先に見えるものがあるだろうと思います。 いつの間にか7月です。インドでの生活も折り返し地点を越えました。写真は以前、インド人の友人のところに訪れた際に。

タフなインド人

今働いている出張先のオフィスはどうやらビル全体での電力供給力が不十分な様で、頻繁に停電が起こります。朝から夕方までの滞在中、昨日は4回、本日も2回の停電を経験しました。また、ムンバイで私が住んでいるアパートも時々停電が発生し、回復まで長い時で1時間以上かかったこともあります。 オフィスでの事務作業ならその影響は軽微ですが、インドへの工場進出を検討する外資系企業にとっては、インドの停電リスクは工場進出の判断の是非に影響を与える大きな懸念事項の一つのようです。 しかし当のインド人たちは停電にはすっかり慣れているようで、停電が起きてもまったく無反応のまま仕事を続けます。日本でしたら停電によって部屋が真っ暗になれば、動揺はしないまでも、ちょっと手が止まって状況を見守るような反応が出て当然ですが、こちらでは本当に何ごともなかったかのようにすべてがそのまま進行していきます。単に慣れの問題でしょうが、最初にその光景を見た時はなかなかタフだなあと感心してしまいました。 タフなインド人という観点でもう一つのエピソードをご紹介します。 インドでのビジネスパーソンにとっては、タクシー移動中にラップトップを開いて仕事をすることは珍しくありません。昨日の記事にも書いたとおり、渋滞の多いインドではタクシーでの移動に1時間以上かかることが多く、移動時間も仕事の稼働時間として組み込まなければいけない事情があるからです(余談ですがインドはタクシーが非常に安いので1時間乗っても1000円程度)。 それくらい日本でもやっている人はやっているよ、と思われるかもしれません。実際私も日本で働いていた時はそうした事もありました。 しかしここはインド。日本よりもずっと道路状況は悪く路面はデコボコしていますし(たまに穴が空いています)、運転マナーもそこまで良くないので急な加速、停止、追い抜きの連続です。つまりタクシーに乗っている間は、とにかく前後左右くわえて上下への揺れが続くのです。そうした状況でパソコンの文字を読もうものなら、数分で車酔いになってしまいます(なりました)。 それでも仕事ができるのがインド人ビジネスパーソンなのです。実際、先月まで一緒に働いていた同僚は、「慣れれば大丈夫」と平然とタクシーで仕事をしているようでした。 新興国であるインドでは、まだまだインフラの整備はこれからの課題です。上記に挙げたような電力事情あるいは道路事情以外にも、様々な部分に課題を抱えています。しかしそれでも、こちらの優秀なビジネスパーソン達はそれらをものともせず仕事をして成果を出しています。さらには流暢な英語を使い海外企業を相手にどんどんビジネスを展開しようとしています。こうした側面を見ていると、日本人として危機感を覚えるとともに、自分も負けずに頑張らなければとの思いを強くするのです。

電話会議の多いインドの仕事

シンガポールからムンバイに昨晩帰国したばかりですが、今朝の早い便でデリーに出張しています。5時過ぎに家を出て、7時のフライトで約2時間。9時ころにデリーに到着しました。週末から3日連続でのフライトはさすがに疲れますね・・・。 日本で働いていた時に比べると、インドでは電話会議を使ってのコミュニケーションがかなり増えました。 日本の場合は多くの大企業の本社機能が東京または大阪に集中しているため、プロジェクトメンバー同士が直接会えるような距離を維持することは難しくありません。一方、インドの場合、面積が日本の10倍の国土において、例えばデリー(インドの北)、ムンバイ(西)、バンガロール(南)、チェンナイ(南)とインド各地に都市が分散しています(ちなみにこれらの都市を移動する場合は飛行機で2時間から3時間弱)。加えてそれら中枢都市の周辺にも規模の大きい衛星都市が点在し、飛行場からさらにクルマで数時間の移動が必要といったケースも珍しくありません。更に加えると、朝夕は交通渋滞が激しいためより一層の移動時間が必要です。 こうした地理的環境のため、一度プロジェクトメンバーが他の都市へ出張すると、しばらくは顔を合わせることができません。例えば以前、私がムンバイで働き、プロジェクトのマネジャーがチェンナイで働いていた時などは、1ヶ月に2回しか顔を合わせることはできませんでした。 したがって結果的に日常の連絡や相談で電話を用いることが多くなります。複数拠点と同時に接続可能な電話会議システムを用いてのチーム内での議論も日常的に起こります。 日本語であれば全く問題ないのですが、英語がノンネイティブの私にとって、こちらでの電話会議は今でもちょっとしたチャレンジです。対面であれば理解できる会話も、電話となるとどうしても理解力が下がってしまうのです。携帯越しでノイズ混じりになる音質の問題も大きいですが、ジェスチャーなどのノンバーバルコミュニケーションが使えないことも要因だと思っています。電話会議での理解不足は仕事のアウトプットに大きな影響を与えてしまうので、一言も聞き漏らすまいと、今でもまだ緊張しながら会議に望んでいるのが現状です。 インドに来て以来、コミュニケーションの精度については常々課題でした。半年前に比べればかなり精度も上がってきているとの実感はありますが、自分のベンチマークである日本語でのコミュニケーション精度と比較すると、まだまだ改善が必要だと思っています。日本語と同水準のレベルはかなりの修練が必要ですが、改善のためには地道に場数を踏んでいくことが一番の近道だと思いますので、電話会議の多い今の環境をうまく活用しながら努力を続けたいと思います。