: インド人

ムンバイピープル

昨晩デリーから戻り、今日は久しぶりに終日仕事もなく羽を伸ばしました。雨期のムンバイですが天候は穏やかにやや曇りの一日。せっかくなのでカメラを手に街へ。中央郵便局から世界遺産にも指定されている CST (Chhatrapati Shivaji Terminus) を経由し、そこからさらに海岸沿いのビーチへ行き、またまた移動して Bandra というムンバイやや北寄りのエリアへ。汗もたくさんかいて、リフレッシュできました。 それにしても、どこへ行っても、人、人、人のムンバイです。東京の新宿や渋谷も週末の人の波は相当だと思いますが、こちらも負けていないというか、勢いや騒々しさとしては明らかに一つ上の次元です。国全体の平均年齢は、日本の40代中盤に対し、インドはまだ20代ですし、物売りの声、クルマのクラクション、そしてこの時期のムンバイ特有の湿度の高い熱気が加わって、ものすごいエネルギーを感じます。 この圧倒的なばかりのエネルギーは、私が感じるインドならではの要素の一つで、インドを知らない日本の方にはぜひ一度経験してもらいたい!と常々思っているものです。 しかし一方で住居者としては、こうした中で日常を送るのは、なかなか大変な面もあります。これはあくまでも日本人としてということになりますが、一言で言えば、落ち着く場所がほとんど見つからないという感じなのです。日本であれば新宿や渋谷といえど、少し場所を選べばほっと一息ついて気を休められる本屋やカフェなどがあったりするものですが、ムンバイの場合、そうしたスポットがほとんどありません。 もともと私は休日は静かに読書をして過ごしたいような性格なのですが、ムンバイではどこにいてもザワザワした感じが続くので、なかなか気を休めるのが難しいのです。幸い今のムンバイの自宅が唯一そうした場所として機能してくれていますが、自宅以外に自分が落ち着ける場所がない、というのは長期滞在する上ではちょっと残念な点ではあります。 ・・・まだ人通りの少ない晴れた休日の朝、家を出て静かで落ち着いたカフェに。美味しいブラックコーヒーを飲みながら、お気に入りの本をじっくり読み物思いにふける・・・そんな日もあったなぁと遠い目になる今日このごろです笑。 せっかくの機会なので今日見てきたムンバイの様子を写真でご紹介しました。日本にも戦後、こんな時代があったのでしょうか。このエネルギーは先進国ではなかなか感じられません。

思考と習慣の格差社会

今週はずっとデリーに出張中です。 インドで働いていると、超優秀な人と、普通のインド人との間に立ちはだかる格差に時に呆然となることがあります。格差とは収入の格差ではなく(もちろん結果的にそうした格差にも繋がっているのですが)、思考だとか習慣といった、人としての振る舞いを大きく左右する部分の格差です。 今こちらでは、クライアントのオフィスと宿泊先のホテルとの往復は、ホテルのピックアップサービスを利用しています。朝はホテルのフロントからクルマを頼めばそのまま先方のオフィスまで連れて行ってくれるのですが、帰りはこちらからホテルに電話をしてピックアップをお願いしなくてはいけません。幸いホテルからオフィスは近いので夕方の交通ラッシュでも30分弱の距離です。 ここで問題が起こっています。ホテルからの迎えのクルマが到着しても、何の連絡もしてこないのです。先日はホテルにピックアップをお願いした後、1時間以上経っても連絡がないので電話してみたところ、30分以上外で待っていると言われました。 インドは時間によって交通状況がかなり変動するので、クルマの到着時間をこちらが読むことは難しく、到着が遅れるのは日常茶飯事。したがって、到着したら到着したと言ってもらわなければ、こちらは何らかの事情でまだ来ていないと捉えるのが基本なのです。 そこで、これではこちらも困るのでホテルにお願いを入れました。到着したらドライバーにその旨を連絡してくれるように徹底してほしいと。 そして次の日、また同じ問題が起こるのです。クルマをお願いしてしばらく待って連絡がないので確認してみたら、またしてもオフィスの前で待っていると言います。今回は昨日とは別のドライバーでしたが、ホテルに依頼した事項がきちんと共有されていないのか、もっと根本的に何かがおかしいのか分かりませんが、とにかく同じ問題を何度も繰り返しているのです。そもそも、ドライバーが少しだけ想像力を発揮できたなら、ピックアップの場所に到着して誰も来なければ依頼者に確認の電話を入れてみてもいいはずです。しかしそうした事は起こらず、ピックアップを依頼されたドライバーはピックアップの場所に移動後、ただ待っているのです。 こうした、お願いしたことが共有されず無かったことになる、あるいは、多少気を利かせればできるはずのことができない、という現象はインドではあちこちで見られます。そしてその度に、どうしようもない無力感を抱くのです。当然本人たちは悪気はなくマジメに仕事をしているのですが、マジメに仕事をしているにも関わらずこうした状況がかなりの頻度で起こるというのは、小さい頃からの思考習慣の積み重ねの問題であるとしか思えません。 インドでは私の周りの同僚もそうですが、優秀な層は舌を巻くほど超優秀です。しかし一方で、もはやどう理解すれば良いのか分からない社会層も存在しているのも事実。インドはこうした激しい思考や習慣の格差を内包しながら国として発展していかなければいけないのかと思うと、なぜか私まで気が遠くなる思いです(少なくとも日本が高度成長を遂げた際には、こうした課題はなかっただろうと思います)。 今後も世界で活躍していくインド人はどんどん増えていくと思います。しかし、インドという国がどう発展していくのか、果たして私にもまだまだ謎の部分です。

タフなインド人

今働いている出張先のオフィスはどうやらビル全体での電力供給力が不十分な様で、頻繁に停電が起こります。朝から夕方までの滞在中、昨日は4回、本日も2回の停電を経験しました。また、ムンバイで私が住んでいるアパートも時々停電が発生し、回復まで長い時で1時間以上かかったこともあります。 オフィスでの事務作業ならその影響は軽微ですが、インドへの工場進出を検討する外資系企業にとっては、インドの停電リスクは工場進出の判断の是非に影響を与える大きな懸念事項の一つのようです。 しかし当のインド人たちは停電にはすっかり慣れているようで、停電が起きてもまったく無反応のまま仕事を続けます。日本でしたら停電によって部屋が真っ暗になれば、動揺はしないまでも、ちょっと手が止まって状況を見守るような反応が出て当然ですが、こちらでは本当に何ごともなかったかのようにすべてがそのまま進行していきます。単に慣れの問題でしょうが、最初にその光景を見た時はなかなかタフだなあと感心してしまいました。 タフなインド人という観点でもう一つのエピソードをご紹介します。 インドでのビジネスパーソンにとっては、タクシー移動中にラップトップを開いて仕事をすることは珍しくありません。昨日の記事にも書いたとおり、渋滞の多いインドではタクシーでの移動に1時間以上かかることが多く、移動時間も仕事の稼働時間として組み込まなければいけない事情があるからです(余談ですがインドはタクシーが非常に安いので1時間乗っても1000円程度)。 それくらい日本でもやっている人はやっているよ、と思われるかもしれません。実際私も日本で働いていた時はそうした事もありました。 しかしここはインド。日本よりもずっと道路状況は悪く路面はデコボコしていますし(たまに穴が空いています)、運転マナーもそこまで良くないので急な加速、停止、追い抜きの連続です。つまりタクシーに乗っている間は、とにかく前後左右くわえて上下への揺れが続くのです。そうした状況でパソコンの文字を読もうものなら、数分で車酔いになってしまいます(なりました)。 それでも仕事ができるのがインド人ビジネスパーソンなのです。実際、先月まで一緒に働いていた同僚は、「慣れれば大丈夫」と平然とタクシーで仕事をしているようでした。 新興国であるインドでは、まだまだインフラの整備はこれからの課題です。上記に挙げたような電力事情あるいは道路事情以外にも、様々な部分に課題を抱えています。しかしそれでも、こちらの優秀なビジネスパーソン達はそれらをものともせず仕事をして成果を出しています。さらには流暢な英語を使い海外企業を相手にどんどんビジネスを展開しようとしています。こうした側面を見ていると、日本人として危機感を覚えるとともに、自分も負けずに頑張らなければとの思いを強くするのです。