: Work

R, Stats, and Exploratory

大学院時代は物理モデルのシミュレーションのために主に Python でプログラミングをしてもいましたが、今の仕事はそういうスキルはあまり必要なく、Excel が使えればほぼ必要な分析はできる環境です。ただし、Excel のみでは限界があるのも事実で、ここ数年は Tableau を取り入れてより発展的なデータ分析や可視化にトライしてきました。それには一定の効果を感じており、特に経営指標の定常的なモニタリングにはかなり役立っています。

僕は逃げなかったよ

きちんとした文章をこちらに書くのは実に1ヶ月半ぶりです。つい最近まで、具体的には6月の終わり頃から8月の上旬まで、とてもタフなプロジェクトに参加しており、なかなかブログを書こうという時間も気力もありませんでした。この間、ほとんど写真も撮れていませんでした。ようやくプロジェクトが先週で終わって一息つける状況になり、こうして言葉として振り返ることができそうです。 プロジェクトの内容はもちろん公にはできませんが、グローバルに展開する某インド企業のポートフォリオ全体を対象に、ビジネスプランのレビューを支援していました。いわゆるデュー・デリジェンス (Due Diligence) と呼ばれるものに近いですが、各ビジネスの中長期プランが適切に立案されているかどうか、改善の余地があるとすればどんな点にあるか、を綿密に検証する作業でした。 こうした業界で働いている方はある程度ご想像つくかと思いますが、このデュー・デリジェンス系のプロジェクトは往々にしてタフな環境に置かれることが多いのです。短い期間で複数のビジネスを正しく理解し、市場環境や競合環境を踏まえ、現実的かつある程度前向きな中長期の売上や利益を算定し、その実現に必要なプランを検証する。こうした戦略立案に近い作業を、複数のビジネスを対象に限られた時間で実施しなければならないので、時間的にも精神的にもかなり追い込まれることが多いのです。 加えて私の担当したビジネスは事業部が北米にありました。インドからですと9時間から12時間ほどの時差なので、電話でのコミュニケーションは朝か夜に限られてしまうボトルネックも存在しており、時間的な制約が一段厳しかったです。 正直、プロジェクト期間中の生活はかなりひどいもので笑、月曜日の早朝4時台に起床し、朝のフライトでデリーに移動。そのまま月曜日から金曜日までデリーで朝から夜遅くまで仕事し、金曜日の夜にムンバイに戻る。そして土日も結局、自宅で仕事。そういった状況でした。仕事するか寝るか食べる。そんな毎日です。 もともと日本語だけで仕事をしてもタフな類の仕事なのですが、英語によるコミュニケーション(かつ北米との電話会議)ですので、さらに効率が低下。インドに来て着実に英語力は上がった実感はありますが、非ネイティブの壁は厚く、未だに苦戦することも少なくありません。例えば 95% 理解できても、残りの 5% の理解が非常にクリティカルということも多いので、そういう時に自分の英語の運用能力を嘆いてしまうのです。 また、これも変な話なのですが、出張先の食事は毎日基本カレーなんですよね。美味しい、美味しくないという以前に、日本人としてはこれもまた厳しくて笑。まったく食欲の湧かない毎日でした。体重はちゃんと測っていませんが、ベルトの穴が1つ移動するくらいのダイエットになりました。 さらに、当たり前ですが日本人は自分一人。インド人の同僚は皆とても親切で優秀なメンバーばかりでとても助けられましたが、それでも、日本語で仕事や仕事の悩みを共有できるメンバーがいないというのは、こういうタフな環境ではジワジワと精神的に影響してくるんです。日本であれば、同僚とちょっと食事で雑談したり軽く飲むだけでも気分転換できると思うのですが、それができませんでした。もちろんこちらのインド人の同僚とは一緒に食事を取り、たまに飲むのですが、どんなに相手が優しいメンバーでも、同じ国に生まれた同じ血が流れる相手に感じられる親密感や一体感は、なかなか得られないのだと実感しました。要は、寂しかったということです笑。 こうした複数の状況が組み合わさって(本当はちゃんと書くともっと生々しい日々でしたが)、私が今の会社に入って以来、最も肉体的にも精神的にも追い込まれたプロジェクトでした。時間がタイトな中、思ったように仕事が進まず、自分の仕事への適正や能力を疑ってしまいました。自分は本当にこの仕事に向いているのかなと。つい弱くなって、自分はなぜインドで働いているんだろうと思う日も少なくありませんでした。自分がこれまで学んできたことを疑いもしました。しばらくはもう体験したくないという位、追い込まれていた気がします。 ただ、そうした苦しい状況ではあったのですが、自分で決めていたことがありました。自分からは最後まで逃げない、ということです。苦しいけれど、それに立ち向かって最後までやり抜く、ということだけは自分に課していました。自分の能力不足が原因で、仕事が取り上げられたらその時は仕方ないけれど、自分から、この仕事は自分にはできないと宣言することだけは絶対にしないと決めていました。 ・・・本来これは私の仕事では当然のマインドセットで、日本にいた時はそんなことを考えたことはなかったのですが、それを思ってしまうくらいタフだったんです。 とにかく「逃げない」という事だけは絶対に決めていたので、肉体的、精神的に辛い時期も、「今、自分にできることをちゃんとやろう」と仕事に向き合えたように思います。 人って、過去の成功体験や失敗体験が、その後の生き方に大きく影響するものだと思います。スポーツでも勝ち癖をつけることは大切だと思われますが、当然、仕事でもそうだと思います。トートロジーですが、勝ち続けてきたから、勝ち続けることができる、というのが一つの真理でしょう。 では今回、自分は「勝った」のだろうか、というと正直、胸を張ってそうは言えません。求められている結果はきちんと出しました。けれど、総合的に見て、自信を持って「勝った」と宣言できるかと言われると、そうではないと思います。努力はしたけれど、至らない点も多々あったと思います(そこはチームのメンバーにたくさん助けてもらいました)。 それでも胸を張って言えること。それは、「僕は逃げなかったよ」ということです。苦しかったけれど、最後までやり抜いた。それは自信を持って言うことができます。 正直に言えば、ある時期はかなり苦しくて、これは自分の能力を超えているんじゃないだろうか、自分がこのまま仕事を続けていると迷惑をかけてしまうのではないだろうか、という心の迷いもあったのですが、それでも、それを自分から言葉に出すことだけは絶対にしませんでした。そして、きっとそれをチームメンバーも分かって信じてくれていたと思います。 そして今振り返れば、やっぱり、逃げずに最後までやり抜いて良かった、と心から思います。 余談ですが、私が昨年日本でフルマラソンに初出場した時も、同じ心境でした。良い結果は出せなかったのですが、走りだして10キロ過ぎで腸脛靭帯炎で足が痛くてまともなフォームで走れなくなった時も、痛み止めを飲んで最後まで走り抜きました。あの時も「逃げない」と決めていたから、走り切れたんだと思います。 こうした経験から思うことは、理想は、「勝ち続けること」かもしれませんが、それと同じくらいあるいはそれ以上に「勝てないとしても逃げないこと」も大切ではないだろうかと思うのです。「苦しくて大変だった。でも自分からは逃げなかった。」そう言えることが、次の自信に繋がっていくんじゃないかと思うのです。また次に何か困難な状況に面した時も、「あの時、逃げなかった。だから今回も自分を信じることができる」と言えるんじゃないかと思うのです。 そうやって一つ一つの経験を積み重ねていきたいなと思っています。 ・・・と、今回のちょっと苦い経験を、ポジティブに捉えるために言葉に落としてみた次第です。それとやっぱりオレって日本人だなぁと痛感しました笑。 写真はムンバイにて。これでも信号のある交差点です。

凝縮された時間の中で

気づけば土曜日の朝。そんな気持ちです。 ここ数週間、特にこの一週間はひたすら朝から夜中まで仕事の毎日でした。出張先のデリーのホテルで、朝起きてまずはメールの確認から始まり、そのまま夕方まで仕事、そしてホテルに戻ったら今度は電話会議。電話会議の後はまたホテルで仕事。そんな毎日が続いていました。 もともと私の仕事は、平均的な仕事よりも労働時間が長い方ですが、今はさらに長い時間働いています。プロジェクト期間が短期ということもありますが、加えて私の場合は相変わらず英語での意思疎通や思考に一定の不自由があることとと、さらにプロジェクトで関係するお客さんがアメリカやカナダを拠点としているため、朝夕の電話会議にコミュニケーションを頼らなければいけないためそこでもまた効率が落ちていることも要因の一つです。 プロジェクトの時間の制約が厳しいので、結果的に私もタイムプレッシャーをかなり感じながら毎日を過ごしています。1日24時間しかない中、どのタイミングでどの仕事をするのか、その適切な判断が求められるのですが、やはり目の前の喫緊のタスクも消化する必要があり、なかなか全体最適が図れていません。忙しければ忙しいほど全体最適を意識しなければいけないのですが、忙しいほどに短期思考になるというジレンマです。 昨晩デリーからムンバイに戻りました。今朝起きてプライベートなメールやブログをチェックしながら、久しぶりに仕事以外の世界に戻ってきたような感じです。自分で淹れたコーヒーを飲み、音楽を聴きながらつかの間のリラックスタイムです。日本で売られている雑誌のいくつかを iPad で電子書籍として読んでいます。その中で “PHaT PHOTO” という写真雑誌の 7-8 月号のテーマが「インスピレーションがわく!写真の旅」でした。いいですね、写真の旅。 まだまだしばらくは今のように時間に追われながらの生活が続きそうです。とはいえ、この前後の数週間は後から振り返って、恐らく自分にとっての成長の良い機会になったと捉えられるように思います。一週間単位で色々な学びや経験があります。決して自分がうまく働けているとは思えないのですが、踏ん張り続けることができれば、きっと先に見えるものがあるだろうと思います。 いつの間にか7月です。インドでの生活も折り返し地点を越えました。写真は以前、インド人の友人のところに訪れた際に。

朝の色

先週の金曜日は朝8時デリー発のフライトに乗るため、5時台にホテルを出ました。こちらの写真は朝5時半前にホテルの部屋から撮ったものです。早朝なので物静かですが日中はクルマと人で賑やかになります。 ムンバイで金曜の夜から日曜の昼間で過ごし、その夜に再びムンバイからデリーに戻りました。月曜の朝からこちらでミーティングがあったので前夜入りすることにしたのです。日本だと東京から大阪くらいであれば当日の朝に移動すれば余裕なのですが、フライトでの移動が多いインドは飛行場との往復やフライトのチェックインなどで最低でも片道移動に3時間から4時間かかるので、移動のタイミングにも気を使います。 ところで今回のプロジェクトは短期でアウトプットを出す必要があり、朝から夜まで仕事のことを考えてしまう結果、なかなか気が休まりません。ちょっと気を緩めてダラダラしようにも、頭の片隅では仕事のことが離れないです。当たり前ですが、仕事のモヤモヤは仕事を通じてしか解決できませんね。もちろんそうした環境ですので、今回もまた色々な経験が積めそうです。 余談の余談ですが、私と同様にムンバイからデリーに出張している同僚が、どこかの週末はデリーに滞在して観光しようと誘ってくれました。土日の2日間あればそれなりの場所は回れるだろう、自分もデリーはあまり知らないから、と。有り難いことです。私も以前インドを旅した時はバラナシとアグラ周辺が主でデリーは中継地点として宿に泊まった程度なのできちんと観光したことがなく楽しみです。

仕事の立ち上がりを早くするには

新しい仕事を始める時は、できるだけ早く立ち上がりたいものです。特に新しい仕事が自分の土地勘があまりない分野であればあるほど、立ち上がりを早くしておかなければ、不確定要素が見えないままに時間が経ってしまい、後から状況が悪化しかねません。 実は今、私がまさにその必要性に迫られています。今週から新しいプロジェクトがスタートしたのですが、なかなか時間がタイトで、きっちりと結果を出しながら、毎日着実に仕事を前進させていかなければいけない状況です。 一般的に新しい仕事を始める時は、情報収集をしっかりしたいとの誘惑にどうしてもかられます。そして色々な資料を集め読み進めるのですが、結果的にそれだけでかなりの時間を要してしまうことも多いと思います。数日経ってみても何も新しいアウトプットが出せていないという事態が起こってしまいます。 情報収集を優先する方法の大きな問題は、本来はアウトプットに必要とされない情報も集めてしまい、かつそれの理解のために時間を使ってしまうことでしょう。時間に余裕のある仕事であればこうしたやり方でも問題はないと思いますが、時間がタイトな場合は、インプットの時間を最小化しアウトプットの時間を最大化する意識と工夫が欠かせません。 インプット最小化、アウトプット最大化。そのための具体的な方法として、これまでのところ一番確実だと思うことは、最終的に必要な仕事の成果物からの逆算思考です。情報が不足していても、最終的なアウトプットのストーリーや枠組みを先に考えてから、そのために必要な情報を選択的にインプットしていく方法です。 情報が不足していて理解が足りない状況で答えをつくっていくようなものなので、もちろんハードルは高いですし、結果的に誤った枠組みをつくってしまうことも当然あり得ますが、それでも無作為に情報収集をしてから始めるよりは、確実に成果が出せる方法だと思っています。それに何より、日々、必要な成果物が着実に生まれつつあるという安心感も高いです。 新しい仕事に取り組む時は、最初から逆算思考で答えを出しに行く。これを基本原則として仕事を進めていきます。 現在デリーに滞在していますが、連日、日中の最高気温が40度を超えています。夕方になっても40度台をキープし、夜中も30度台のままの様です。幸い一日の大半をオフィスで過ごしていますが、ちょっと屋外に出るとかなりの熱気。日本ではまずなかなか経験できません。