: 写真

Megutama

恵比寿駅から歩いて10分ほどの場所にある「写真食堂めぐたま」を訪問。写真評論家の飯沢耕太郎蔵さんの所有する写真集が5000冊、壁一面に並ぶ写真好きにはたまらない場所。数年前にその存在を知って行ってみたいと思っていた場所。 12時前に到着したところまだお客さんはまばら。今日は暖かかったためかテラスが開放されており広々としたスペースで心地よい空間。本棚から気になる写真集を選びビールを飲みながらご機嫌な時間を過ごした。 写真はすべて Fujifilm X-Pro2 にて。PRO Neg Hi モードをベースに微修正。

あれから1年と半年

写真を整理していたら、ふと過去に撮った写真が目に入りました。 撮った日付は 2012年12月21日になっています。代官山の蔦屋書店で撮ったものですが、テーブルの上にはインド関係の書籍と、取得したばかりの観光用ビザが置かれています。 2012年の年末年始の休みを利用して、インドに一人旅に出かけました。インドに行くことの明確な目的があったわけではありませんが、一生のうちに一度は行っておきたいと思っていたのと、行くなら一人が良さそうだなとずっと考えていたことは確かで、それを行動に移すなら今だと思ったのは確かです。 数日後の25日に成田を出発し、デリーを経由して27日にガンジス川のあるバラナシへ。そこで数日を過ごし年末年始はタージマハルのあるアグラの近くで現地で知り合ったインド人たちと寝食を共に過ごしました。そして年明けにデリーに戻りさらにネパールに立ち寄った後、帰国しました。約10日間の一人旅でした。 その時が初めてのインドの旅となったわけですが、1年後の2013年末、再びインドの地を踏むことになるとは当時は全く思いもよらず。 偶然なのか必然なのか分かりませんけれど、あの時にインドを訪れていていなければ、きっとインドで仕事をしてみたいという気持ちも生まれなかったと思いますから、やはり必然なのかもしれません。そして、今インドで何とか生活が続けられるのも、1年半前に思い切って一人でインドに旅だった自分がいたからです。 そう考えると、人生はつくづく日々の積み重ねであって、今日考えたことや起こったことが、将来のどこかのタイミングで結びついていくんだなと思います。今の環境に感謝できることがあるとすれば、それは過去の自分がどこかでその種を蒔いたからですし、今日蒔く種は、将来の自分をつくっていくんですよね。 それと、やっぱり写真はいいなと思いました。 自分で撮った写真を見ると、その時の周りの様子や自分の心境が今でも鮮明に思い出せるような気がします。あの時、休日の蔦屋書店は座る場所を確保するのも大変なくらいに混んでいたのですが、その中で自分は、これからインドに一人旅に出るのだという高揚と緊張とに包まれていました。 これからも、拙いながらも自分の写真と自分の言葉で世界を切り取っていきたいと思います。

インドでカメラを持ち歩くのはまだ慣れない

未だにインドでカメラをぶら下げて街を歩くのは慣れていません。一眼レフなど持ちだそうものなら、最初は緊張して周りの視線を伺ってしまいます。 インドでカメラを持ち歩いているのは、観光スポットで外国人相手の写真撮影サービスを提供しているインド人(カメラは商売道具)か、あるいはその観光スポットを訪れている外国人や裕福なインド人くらいです。一度観光スポットを離れ、日常の生活圏に入ると、カメラを見かけることはほとんどありません。 従って私がカメラを持ち歩いていると、見た目の違いも手伝ってかなり目立ってしまうのです。自意識過剰かもしれませんが、外国人でカメラという格好は観光客としか見えないようで、路上の物売りや物乞いからの熱い視線を浴びることになってしまいます。もちろん他人の目など気にしては生きていけないインドですから、私もある程度は開き直って好きにさせてもらうのですが、やはり根っこは周りの目を気にする日本人。どうしても緊張してしまうのです。 ところでインドでは普段の生活圏では本格的なカメラを見かけないと書きましたが、インド人は写真を撮らないのかというとそんなことはありません。例えば街中でのパレードや何らかのイベント時には、スマートフォンのカメラで写真を撮るインド人達をよく見かけます(共和国記念日に開催されたパレードではボリウッドスターが登場し大変盛り上がっていました)。 日本では一昔前であればコンパクトカメラが活躍していたシーンだと思いますが、インドの場合、コンパクトカメラ市場の立ち上がりよりも先にスマートフォンが普及してしまったようです。日本においてもコンパクトカメラの市場はどんどんスマートフォンに取って代わられている現状を考えると、この先インドでコンパクトカメラが普及することは難しいだろうなと思います。 そう考えると、ノートパソコンに対するタブレット、インフラの必要なリアル書店に対する電子書籍など、新興国ならではの市場の立ち上がり方が想定されるものは他にも色々とあり得そうですね。 冒頭の写真は Black & Yellow Cab から。乗り心地はイマイチですが、手軽に使える日常の足として活躍してくれています。ムンバイでは定番のタクシーです。

写真について

何故か理由は分かりませんが、「写真」はこれまでのところ波はあるにせよ一貫して興味を持ち続けられている分野です。写真を鑑賞するのも好きですし、自分で写真を撮るのも好きです。 写真を面白いと思う理由を言葉に落としこんでみると、目の前に存在する世界を自分なりの切り口でフレームに収め、何らかの意味合いを加え、一つの完結した新しい世界を表現できることなのかなと思っています。目の前にある混沌とした世界を前提に、レンズとカメラを通じより単純に再構築しながらも、今まで見えなかった新しい視点を加える事ができるのが、きっと自分にとって面白いのだろうなと思っています。 スマートフォンの普及と Facebook や Twitter などの SNS の浸透によってこれまでにない膨大な量の写真が日々ネットで共有されるようになりました。自分が経験したオリジナルの世界を周りの人に知ってもらいたいという個々人の欲求がそうした動きを加速しているのだと思います。誰もが表現者という一面を持っているのでしょうね。 きっと私の場合も根っこにあるのはそうした自分の世界を表現したいという気持ちなのだと思います。 ところで写真付きの方であれば必ず共感頂けるかと思いますが、カメラを持つと、周りの世界に対する興味や感度がぐっと高くなります。興味深い被写体や、写真として映える光や影を常に追い求めるような感覚が続きます。そしてカメラを持っていなければ素通りしてしまうようなシーンを実際に察知し、レンズを向けることができるようになります。 こうした「超高感度」モードは、写真以外の分野においても持ちたいものですね。 軽く読み流してしまう記事、何となく会話して別れてしまう多くの人、目の前を素通りしていく街中のモノやコト。その先に新しい世界が拡がっている可能性があるにも関わらず、気付くことなくその瞬間は日々過ぎ去ってしまっているのではないかと思います。 その「瞬間」を見逃すことなくちゃんとすくい取る事ができれば、きっと膨大な気付きや学びがあるはず。そのために何より必要なことは、見えない世界を見ようとする執着心や好奇心ですよね。そしてそれは写真と同じように、何度も繰り返し試行錯誤することで、より感度や精度が上がっていくのだと思います。 そんなことを考えながら、写真を見たり撮ったりしています。