早いものでインド・ムンバイでの生活も一月が経過。
この週末には嬉しい出来事が。わざわざシンガポール在住の友人である上田さんが訪れてくれました。さすがのフットワークの軽さで、金曜日午前中にチケットを購入し、翌日の土曜日にムンバイ入りというスピード感。僕にとっては初めてのインドへの来客となりました。どうもありがとうございました。
たった土曜日1日という限られた時間でいかにインドを感じてもらえるか考えコースを検討してみましたが、一定の面白い経験はご提供できた様で一安心。お陰さまで、インドを感じるムンバイ観光のモデルコースのイメージを持つことも出来ました。
さて、たったの一ヶ月、しかも最大規模の経済都市ムンバイという限定された地での経験という前提ではあるものの、この国では混沌と秩序とが絶妙に調和しているような印象を受けています。
まず、初めにインドの地を踏まれる多くの方は、この国の混沌とした有り様に強い刺激を受けるのではないでしょうか。
空港を出た瞬間のタクシードライバー達の強烈な眼差しと客引き。ホテルに向かう道程における渋滞とけたたましいクラクション。その中を縫うように横断していく歩行者たち。観光地に出向けば、厚かましい物売りや物乞いする女性や子供がいる一方で、デジタル一眼レフカメラを首に下げ記念写真を撮る裕福層。街中に多く存在するスラム街のすぐ近くに建つ高層の高級マンション。
ここではあらゆる人々、生活、価値観が極端な振れ幅を持って混同しています。そしてこの極端さに、おそらく多くの日本人は揺さぶられ、ある人はインドから遠ざかり、ある人はインドに惹かれていくのだと思うのです。
しかし最近になって、こうした混沌さの中にも、一定の秩序があるように見えてきました。混沌でありながらも分裂、崩壊せずに、その混沌さを保つための秩序と言えばよいでしょうか。
例えば、先日私はムンバイで開かれた SCMM 2014 というマラソン大会のハーフマラソンの部に参加しました。
数キロごとに設置されたエイドステーションでは小さいペットボトル入りのミネラルウォーターが提供されるのですが、ちゃんとしたゴミ箱がないために、ランナーであるインド人たちはそのペットボトルを周りにポイポイと投げ捨てていきます。結果、辺り一面はペットボトルが散乱。
しかし同時に、そのすぐ近くでペットボトルを回収するインド人たちを見かけました。どう見てもこのマラソン大会のボランティアではありません。恐らくはゴミ回収を生業としているであろう人々。こうして拾ったポットボトルを明日の糧としているのだと思います。ゴミ箱が設置されないことによって、彼らの生活が保証されているのでしょう。
これはあくまでもひとつの例に過ぎませんが、こうしてインドでは多種多様な人生が間接的、直接的に関わり合い相互依存しながら大きな社会を動かしているように思います。一見、混沌としていながらも、混沌さを構成する無数の要素が一定の秩序を持って、混沌さを支えているような感じです。
10億人を超える人口、様々な民族、宗教、言語が混在するこの国を知るには、混沌の中にある秩序を見出すことが大切なのかもしれないと思いました。
インドでの生活を開始して約半月が過ぎました。
到着以来ホテル暮らしが続いていましたが、ようやく引越し先の候補が見つかりました。正式な契約に向けての手続きを進めていきたいと思います。インドに長期滞在するために必要な、FRRO (Foreign Regional Registration Office) での外国人登録も完了しています。こちらでの仕事用携帯に加え、プライベート用の携帯も入手。近々銀行口座も開設やクレジットカードの発行もできそうです。こうした契約等が完了すれば、こちらでの生活基盤としては必要最低限構築できたと言えそうです。
日本からインドへはスーツケース2つとバックパック1つで身軽に飛んできたので、生活に必要なモノは最低限のものしか持ち合わせがありません。したがってこちらで必要な物を随時買い足していく必要がありますが、土地勘がつくに従って必要な身の回りのモノの調達もできるようになってきたました。
例えばニーズの高い衣類に関してはほぼこちらで調達できそう。もちろんデザインはインド人好みに合わせられたものですが、細かいことに文句を言わなければフォーマルなものからカジュアルなものまで問題なく揃いそうです。大都市ムンバイとあって大型の商業施設もいくつか存在するので、そうしたところに行けば色々な店を見て回りながらの買い物も可能です。
衣食住の食である生鮮食品も、外国人向けに品揃え豊富なお店がいくつか存在しています。こうしたところでは牛肉や豚肉など、ヒンズー教、イスラム教の混在するインドで取り扱いの難しい肉類も手に入るようです。私は当面自炊はしない予定ですが、生活に慣れてきたら、日本料理的な料理も何とかつくれるのではと期待しています。
一方で、衣食住とはレベルが異なりますが、個人的にニーズの高い文房具の調達に苦労しています。東京都内であればすぐに手に入るノートパッドや綴じノートといった仕事の道具がなかなか見つかりません。こちらではノートというと、どうも大型のリングノートが主流のようですが、あまりに大味な感じで使い勝手が悪そうなのです。そう考えると日本の文房具屋に置いてある品揃え豊かな様々な文房具は日本という文化を象徴するものの一つだなと思えますね。慣れの問題かもしれませんが、長いこと使って手に馴染んたノート類が使えないのは、気持よく仕事をする上でちょっとした課題になりそうです。