盟友ムンバイへ来たり(エンペラーの会) #5 – マッチ

Colaba Causeway

Mumbai;
Fujifilm X-T1 with XF35mm F1.4R

 

これは「エンペラーの会インド編第4話」からの続きである。写真は今回の記事とは無関係だが以前 Colaba Causeway にて撮ったもの。

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金曜日の朝を迎えた。本来は羅王とザッキーニに付き添いたかったのだが、僕は仕事が入ってしまっていた。事前に分かっていたことなので、今日一日はクマールに観光案内をお願いしていた。もっともそれはクマールの本職であるから僕が案内するよりも羅王とザッキーニにとってプラスの面も大きいはずだ。観光資源の少ないムンバイとはいえ、それが全くないわけではない。そこで今日はムンバイ観光の定番、エレファンタ島を中心に観光してもらうことにした。

 

Elephanta map

Google Map

 

エレファンタ島は羅王、ザッキーニが宿泊している Colaba 地区からフェリーで1時間ほどの場所にある(地図では歩行者マークになっているが歩いては行けない)。エレファンタ島のエレファンタ石窟群は世界遺産の指定を受けている。ヒンズー教徒の石窟であるため、内部にはシヴァやパルバティの石像が数多く存在している。決して華やかな場所ではないので好みが分かれるところであると思うが、ムンバイでエレファンタ島に行かないとなると他に行く場所がないも事実である。

クマールの案内によって羅王とザッキーニがどういった時間を過ごしたのかは想像するしかないが、クマールから送られてきた写真を見るに、和気あいあいとした雰囲気であったと思われる。ただし TAC (公認会計士の資格学校)で講師を務めるほどに優秀かつ人前で話すことを臆さないザッキーニであるが、どうやら英語がそこまで得意ではないらしく、ムンバイに来てからというものかなり無口(むしろ涙目)になるシーンが多くなったのも事実。

写真はザッキーニとクマール。ザッキーニの顔がややひきつっているのがお分かり頂けると思う。またクマールは30台後半である。

 

Photo

Taken by Kumar

 

クマールのお陰で何の心配もなく羅王とザッキーニにムンバイ観光を楽しんでもい、僕は普通に仕事をしていたわけだが、午後に入ると若干気持ちがソワソワしてきた。何故ならば間もなくムンバイ国際空港に第3のエンペラーが到着するからである。昨晩深夜に成田を発ち、インド上空を飛び越えドバイを経由し、ムンバイに戻ってくるという大変エンペラーな旅程を組んだ男、マッチだ。

マッチはかつて外資系コンサルティングファームに勤務した後、ベンチャー企業の経営陣として転身をはかり、今ではその会社を背負って立つ有能な男である。当然仕事はできるし頭の回転も速い。部下の人望も厚く職場では神とすら呼ばれているとも聞く(我々の前ではエンペラーである)。そして何よりも、頭の回転以上に口の回転が速いという能力を有する。

例えば、エンペラーの会では月例の会合を持っているわけだが、その会合の7割程度の時間はマッチの口が動いている(フェルミ推定に基づく概算値)。誰かが話題を提供すれば、他のメンバーがそれにどう答えるべきか考えているうちに、マッチの口が動き始めるのだ。反応速度としてコンマ数秒の世界。僕の仮説では、大脳皮質からの命令を待つ前に、呼吸器系と顔面の神経が反応しているのではないかと思っている。

このように常人離れした瞬発力の高いコミュニケーション能力を誇るが故に、我々に理解できない話をする時がある。言い方を変えればスベるということだ。周りの理解が追いつく前にスベり気味の話を展開し、そこにさらにスベり気味の話を自ら被せてくる。結果的に周りを突き放し圧倒的なスベりに昇華していく。美しいパラレルターンのように、本人にとって最小限の疲労でスベリ続けることが可能であるようなのだ。

そんな男が間もなくムンバイに到着するのである。しかも本人は自力で空港からホテルに辿り着けると宣言している。確かに彼はエンペラーであるし有能な男であるから全く問題ないはずである。しかし、ここはインドだ。インド人たちもまた、会話に関しては日本人の平均値をはるかに上回る応答速度を有している。マッチの高度なコミュニケーション能力、中でも際立ったスベり技術がインドで通用するかどうか誰にも分からない。

どうか無事にホテルに辿り着いてくれ。そう願いながら僕は仕事を続けていた。

続く。

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羅王のブログも合わせてご覧頂けると、より一連のストーリーが立体感を持って見えてくるかと思います。「ラオウを目指す羅王のブログ」から、「インド5弱の衝撃!8年ぶりに行ったインドの話」シリーズへどうぞ。

なお、本ブログ記事の第2話から第4話にかけて、羅王がテザリングを要求し続ける点が強調された記述がありました。事実です。ただし自身のブログをインドからも発信し続けるという羅王の崇高な信念に基づいたことである点は補足しておきます。彼のブログをご覧いただければその質の高さもご理解いただけるかと思います。