インドからの一時帰国。久しぶりに見た日本で考えたこと

DSF1838 Starbucks X E1 XF35mmF1 4 R

Tokyo, Japan (2013);
Fujifilm X-E1

 

実は10月末に一週間ほど日本に一時帰国していました。身内のプライベートなことでの帰国だったので誰にも言わずでしたが。ほとんど実家で過ごして、しかも平日は仕事もしていたのでほとんど外出していませんけれど、とにかく日本にいました。

それで、結論から言うと、日本はすごかったです。何だかすごい国でした。その話を書いておこうと思います。

ちなみにこれまでも今年に入って数回一時帰国しているんですが、いずれも週末だけの弾丸帰国で一週間くらい日本にいたのは今回がインドに来てから初めてです。

すごいよ日本

インドから日本へはデリー経由で成田空港に着いたんですけれど、久しぶりに ANA に乗ったんですね。これまでの弾丸帰国はより安い Air India を使っていました。ANA なので、機内の案内がヒンディーじゃなくて日本語で流れますし、おしぼりも出てきますし、オレンジ色の派手な色遣いじゃなくてブルー系統の落ち着いた雰囲気で、既にこの時点で「おかえりなさい」と言われている気がしました。

ただし一点だけ残念な点がありまして、僕はインド国内からの往復便を買ったのですが、何故かその予約サイトでは日本食を機内食として選択するオプションがなかったんです。それでヒンズーミールとかイスラム料理とか、そんなオプションしかなかったので、とりあえずヒンズーミールを選んでおいたんです。そうしたら飛行機の座席に座るなり、アテンダンスさんから「お客さま、ヒンズーミールを選択されていますが・・・」と明らかに日本人顔の僕を見ながら若干遠慮気味に確認されたので「それしかオプションがなかったんですが日本食に変更できますか」と聞いたら「あいにく余裕がございません・・・申し訳ありません」と即答されてしまったんです。

もちろんヒンズーミールを選んでしまった僕が悪いですし、できるだけ無駄を減らす企業努力として当然なので全く文句はないのですが、せっかくの ANA 便で日本に帰るという時に「ヒンズーミール」を食べた僕の気持ちが分かるでしょうか。それにこれは個人的な感想なんですけれど、ヒンズーミールに関して言えば ANA よりも Air India の方がスパイス具合などが一段上をいっているなと思いました。インドに1年弱住んだ成果として、それくらいの判断ができるようになりました。ですので、これをお読みの皆さんにお伝えしておくと、ヒンズーミールを機内食で食べたい方は ANA ではなくて Air India を選択いただければ間違いはないかと思います。Air India であれば、ベジタリアン向けかどうか (Veg / Non-Veg) も選択可能でより充実しています。

 

すみません。書きたかったのはこういう話ではなくて、日本はすごいよという話です。

成田空港に着いたのは日本時間のお昼すぎですが、成田エクスプレスで都内に移動して所用を済まし、そのまま夕方には北関東の実家に帰りました。その過程で僕が感動したり喜んでしまったことをメモっていたのですが、こんなことを感じていました。

あらためてすごいよ日本

成田へ着陸する時、緑に囲まれゴミひとつない整備された道路や家の並びをその機内の窓から見て感動しました。先日モディ首相が日本を訪れた際に日本のあまりに綺麗さにショックを受けたという話をインドの友人がしていましたが、僕も成田空港で既にショックを受けてしまいました。ムンバイですと空港の周りにはスラムが拡がっていて、それはそれで上空から見ると、ムンバイに帰ってきたなと思わせる風格がありますけれど、客観的に見てどちらが心地よいかというと日本の空港だと思います(注:ムンバイのスラムはネガティブなものではありません。詳細は文末のリンクからダラヴィ・スラムに行った際の記事をご覧ください)。

そして、飛行機で着陸した瞬間から僕の iPhone が 4G ネットワークに繋がってしまい、あまりの高速通信に驚愕してしまいました。10時間ぶりに Facebook を見たら、タイムラインが一瞬で表示されて、そこに載っている動画がグリグリ動いていました。ムンバイですと、空港に降りて繋がるのは EDGE で、これは 2.5G とか呼ばれていましたが、日本ですと10年くらい前によく使われていた規格です。Facebook を表示しようとすると iPhone で最初の画面が出るまで1分以上かかることもありますし、遅くて見るのを諦めることもあります。ムンバイの市内に行くとようやく 3G が使えますが、帯域が狭いのでやっぱり遅いです。

空港で成田エクスプレスに乗る前の時間調整としてスターバックスに行ったんですが、そこで座っているだけで顔がにやけました。まずコーヒーが美味しいですし、それなりの数の人が座っていましたが、皆さん静かです。オシャレな音楽を聞きながら落ち着いた空間でコーヒーを飲むだけで幸せでした。成田エクスプレスのチケットを買う時、自動化されたチケット販売機があって、しかも全てがちゃんと動作していて、列に並ぶだけで何の滞りもなくチケットを買うことが出来ました。感動。

もちろん電車の時刻は正確で、時間通りに電車が到着して時間通りに発車しました。電車の車内は清潔でゴミが落ちておらず、座席のリクライニングもちゃんと動作しました。以前 Air India に乗った時はリクライニングが壊れていて、アテンダンスの方に着陸だから元の位置に戻してと言われても戻せなかったので、自分で姿勢を正して戻ったように見せかけたことを思い出しました。

 

ANA でヒンズーミールを食べたことによって本来食べられたはずの日本食一回分を失ってしまったわけですが、都内についてようやく昼食として念願の日本食を食べました。その時に出てくるお冷が何の心配もなく飲めることに感動しました。というよりも最初は無意識に手を付けなかったんですが、そうか、これは飲めるんだと思って、飲めたのがうれしかったです。日本食については書きません。キリがありませんから笑。

インドにある自分の銀行口座に日本円を送金したかったのでシティバンクに寄りました。そうしたら何も言わないのにキレイなお姉さんが声をかけてきてくれて、送金の手続きについて詳しく教えてくれました。当たり前ですが日本語で。それでどれくらいの日数で送金できそうか聞いたら、いくつかの事例を教えてくれて大体これくらいかかりますねという話をしてくれたんですが、ちゃんと理路整然としていてどこまでがシティバンクの管轄でどこからが管轄外かも教えてくれました。サービス業の窓口ってこんなに丁寧だったっけ。

都内から実家のある駅に着いて、タクシーに乗って帰宅しようとしたのですが、タクシーの扉が勝手に開いて戸惑いました。ウソじゃなくて本当に最初は自分で開けようとしてしまったのです。タクシーの車内は清潔で、エアコンがちゃんと付いていて、サスペンションもしっかりしていて揺れないのが驚きでした。そして道路の静かなこと。ちゃんと平坦に舗装されていますし、クラクションが鳴らないですし、交差点には信号があってその通りにクルマが走っています。すごいなぁ。ベンツは静寂で全く揺れないなんて言われますけれど、いやいや、日本のタクシーも超高級車です。

日本で何が不満なの

これらは全て、初日のたった半日だけのことですけれど、日本に帰国して僕が感動したことの一部です。できるだけ具体的に書いてみたんですけれど、少しでもその感動が伝わりますでしょうか。

それで思ったことなんですが、もちろん日本は素晴らしい、すごい、ということもそうですが、その裏返しとして日本のどこか不満なんだろう、ってことなんです。こんなに全てが完璧と思ってしまうくらいに環境が充実している日本に住んでいて、これ以上不満に感じなくてはいけないことって何なのでしょうか。こんなに素晴らしい環境にいながら、なおも満たされない日常があるとすれば、それは何が原因なのでしょうか。にも関わらず、日本では満たされずに精神的な苦悩を持つ人の数が少なくありません。何が悪いんでしょうか。

と言いつつも、僕も一年前は東京にいましたが、その時はこんなことは全く考えませんでした。漠然と日本の良さを理解しつつも、でもそれに対して幸せだなぁといちいち感動なんてしていません。それが当たり前のことですから。そして日本に戻って一年もすればこういう感動は忘れて、以前のように日々の出来事に不満を抱いてしまうかもしれません。

今回日本に帰ってみて、人の喜びや幸せは極めて相対的なものなのだと実感しました。今の環境(=インド)に慣れた自分にとっては、日本では当たり前のサービスを経験するだけで幸せと思ってしまいます。それはインドから見ると相対的に日本が圧倒的にすごいからです。しかし、日本に慣れてしまうと、その感動は薄れてしまい、さらに相対的にすごいものに出会わなければ感動できない。

常により良い物を、より良い環境を、というヒトとしての本能的な欲求があったからこそ、今の日本があるのだと思います。ただ難しいのは、絶対的な水準としてかなり高いレベルにある今の日本が、さらに「より良い」と思えるようなモノやコトを見つけ出すことの難易度が相当に上がってしまっているということです。日本を今より「すごく良くする」アイデアって何? と聞かれるとうまく答えられません。

それでも、その問いを見つけていかなきゃいけないなと思います。多分それはもはや単純な物質的な欲求に答えるだけの世界ではないでしょう。なぜなら物質的な部分は既に圧倒的に満たされているはずの日本ですら、人の不満や不安は消えていないからです。他の国に参考事例があるかというとあんまり無いような気がします。ヒントはあるかもしれませんがダイレクトな答えはないでしょう。日本が自ら手探りで答えを出さなくちゃいけないことだと思います。そして、人口が減る中、残された時間はあまりないかもしれません。

今回の記事では書いていませんが、日本にいる間の一週間、毎日感動がありました。別に特別なことではないです。日本人だったら当たり前のこと。でも海外(インド)に一年弱住むだけで、それが感動になっちゃうくらい、日本は素晴らしかったです。僕は今30代前半ですが、日本がもっと先に行くために、僕らの世代が頑張らないといけないんだろうなと思います。簡単な事じゃないですが、がんばりましょう。

 

日本からムンバイに戻るときの ANA 便では同じ失態を繰り返すまいと、事前に ANA に電話してヒンズーミールを普通の和食に変えてもらいました。そして機内に登場したらやはりアテンダンスさんが「お客さま、ヒンズーミールを選択されていますが・・・」と明らかに日本人顔の僕を見ながら若干遠慮気味に確認されたので「昨日電話して和食に変更してもらったはずです。」と聞いたら「確認してまいりますので少々お待ちください」と言って、5分後に「お客さま、日本食がご用意できそうです」との返答をもらいました。この対応も日本のサービス。最後の日本食を堪能し、再びヒンズーミールの国に戻りました。

 

R003624 K GR 18 3 mm f 2 8

Japan;
Ricoh GR

 


リンク:ダラヴィ・スラムに行った際の記事