日本料理が食べられる Guppy Pop-Up に行ってきた

ムンバイで暮らす日本人にとって日本食の確保が死活問題であることは広く知られています。ムンバイに新しく赴任してきた日本人の方とお話させて頂くと、赴任して間もない時期は「結構インド料理もいけますね、大丈夫ですね」といったテンションが普通なのですが、数カ月後に話すと「日本食がなくて辛いです。味噌汁が飲みたい。納豆が食べたい。」みたいな泣き言に激変している確率が非常に高いのです。もちろん僕もその一人。

そんなムンバイですが最近、日本食が食べられるレストランの数が微増しつつあります。微増といってももともと数カ所だったところに 1,2 カ所増えているわけですから、その年間成長率としてはインドの GDP 成長率 5% をはるかに凌ぐ勢いです。

今回はムンバイに住む友人と、まだオープンして間もないレストラン “Guppy Pop-Up” に行ってきました。カタカナであえて書くとグッピー・ポップアップです。まったく日本食を連想させませんが、日本料理が食べられるレストランです。

このレストランの素晴らしいところは場所がマハラクシュミ (Mahalaxmi) というエリアにあるので、僕の家からとても近いということです。ムンバイで最高級とされる Wasabi by Morimoto はコラバ (Colaba) なのでやや遠いですし(そもそも高いですし)、以前から有名なムンバイ在住日本人第2の故郷ともいえる Kohfuku はバンドラ (Bandra) というエリアにあり、さらに遠いです(それでも日本食が食べたくて通ってしまう)。

 

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名前から日本食を連想させない強気姿勢のグッピーに誘って頂いたのは、ムンバイで不動産の仕事をされている坪和さんです。ムンバイでの不動産業はかなりの苦労があるのではと推測します。僕もこちらに赴任した当初、アパートを探して引っ越すまでに1ヶ月以上を要しましたし、引っ越してからも停電したり、水が止まったりと、細かいトラブルが続出します。こちらで仕事をするとなると、そうしたサポートを引き受ける必要もあるわけですから、色々とご苦労もありそうです。ご本人は「

インド情報 | 今日ヤバイ奴に会った」というブログを書いていらっしゃいますが、こうした状況を踏まえると、ムンバイで不動産の仕事に就くということ自体ヤバいと言って差し支えないでしょう。ただし、もちろん坪和さんご本人は非常に信頼のおける方ですので、ムンバイでの不動産関連のご相談はぜひ坪和さんまで。

そして、もう一人、8月からムンバイに赴任された弁護士のノリさんともご一緒させて頂きました(ここでは勝手にノリさんと呼ぶことにします)。インド人はおそらく世界の中でも特に饒舌で押しが強い人たちです。その中で世界の中では大人しいとされる日本人として働くだけでもチャレンジは少なくありません。ロー・ファームとなるとより一層その傾向が強くなるのではと思いますが、そんな環境に自ら飛び込んでしまったノリさん。この時点で坪和さん同様、既にヤバいと言ってよいでしょう。ただし、もちろんノリさんも少なくとも日本人の僕に対してはとても優しく接してくれます。先日のワイナリーに誘ってくれたのもノリさんです。

そんなヤバい二人と、グッピーというヤバい名前の日本食レストランに行ってきました。

 

場所が少し分かりづらいところにあったグッピーですが、店内はライトダウンし落ち着いた雰囲気。平日の夜ということもあってか、お客さんの入りは3-4割くらい。僕は仕事で少し遅れてしまい、先に始めていた坪和さんとノリさんに合流しました。既にテーブルには唐揚げや天ぷらなどが並び美味しそうです。さっそく僕もビールと一緒に頂きましたが、素材も悪くなくちゃんとカリッと揚がっていて、思わず「美味しいですねー!」と感動の声を上げてしまいました。ムンバイでこの味が食べられるのは素晴らしいです。

グッピーという名前ですが、ちゃんと寿司もありました。ネタの鮮度はというと、さすがに築地から空輸する Wasabi に比べれば落ちますが、Kohfuku よりは間違いなくより新鮮ではないかと感じました。どうしてこんなにも日本の味が恋しくなるのか不思議ですが、やっぱりそれが自分が日本人である証拠なのでしょうね。

 

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ここでノリさんが一つの提案。日本酒を飲みませんかと。日本なら飲みましょうと即答するところですが、ムンバイですと日本酒はプライスがかなりヤバいのです。以前 Kohfuku に行った時、僕はブランドも分からない日本酒のおちょこ一杯に対し、日本円にして800円くらい払いました。それ以来インドのレストランでは日本酒は飲んでいません。

とはいえ今回はせっかくの仲間との日本食ディナー。ちょっとくらい楽しんでもいいのではないかということで思いきって頼んでみました。純米酒「美少年」。300ml ボトルだったと思います。日本だと店頭では700円くらいで売られているようですが、こちらのレストランでは 4,500ルピーくらいでした。つまり7600円ほどです。日本の店頭価格の10倍です。

 

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プレミアム価格を払って久ぶりに飲む日本酒。その味に3人全員で最後の一滴まで文字通り酔いしれました(そしてその後は、日本酒をお代わりしたい気持ちを抑え、はるかにお財布にやさしいインド産ワインをオーダーしました笑)。

食事中、日本食と日本酒に感動する僕たちを見ていたウェイターの計らいで、シェフが挨拶に来てくれました。もちろんインド人ですが、デリーの日本食レストランで働いていたそうです。僕たちが「ちゃんと日本の味がして美味しかったよ」と伝えると、インド人には珍しい慎ましい感じで「ありがとう」と言いました。やっぱりそういう控え目な性格が日本料理を作る上では必要なのでしょうか笑。

 

ところで今回のお酒にかぎらず、それなりに美味しいと思える寿司や刺し身を食べるには例えば Wasabi ですと一人あたり 10,000円を超えてしまう様に、インドで日本の食を楽しもうとするとかなりのプレミアム価格になってしまいます。じゃあ逆に日本でインド料理あるいはその他各国の看板料理を食べたい場合はというと、東京に行けばおそらく数千円もあれば本場に近い味が楽しめるのではないでしょうか。日本は物価が高いとは言われますけれど、少なくとも食に関しては世界一のコストパフォーマンスだと思います。

 

今回初めて訪れたグッピーですが、味、値段を総合的に見てムンバイではオススメのお店といえそうです。坪和さん、ノリさん、どうもありがとうございました! また次回はぜひ例のお店で!

 

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